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「そうね、言われてみれば実年齢より老けて見えるかも……」
昌枝はいささかふくよかな腰に手を当てた。
「いつも威張ってるような顔して歩いてるわ」
「ふふ…あれが普通なのよ。でも優しい人よ」
「あっ、朝からノロケ?ご馳走様!」
「ガハハ……」と大口を開けて笑いながら背を向けると、彼女は片手をヒラヒラ振る。
「今日はいいお天気よ。洗濯物が乾くわ」
本当に、今日も暑くなりそう……。
去って行く彼女を見送ってから、理香子は眩しさに手を翳(かざ)して空を仰ぐ。
だが
「お金、振り込まなきゃ……な」
口から漏れたのは、こんな呟きだった。
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