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不意討ちで言われた「好き」という言葉に思わずドキッとする。
いや、落ち着け、そういう意味じゃないから!
と自分に言い聞かせる。
「あ、お昼御飯どうします?」
何事もなかったかのように三枝が尋ねる。
いや、実際パニックなのは俺のなかだけであって何事もないのが正解なんだけど……って
なんか自分でもよくわかんなくなってきた。
そんな俺の心情を知ってか知らずか、
「外で食べる感じじゃなくなっちゃいましたよね……。俺なんか作りますよ!」
「そうだな……。じゃあ頼むよ。」
どうしよう。
なんか三枝の顔がまともに見れない。
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。」
心臓がバクバクと音をたてる。
どうしてしまったんだろうか俺の心臓は。
そういえばさっき助けてもらったとき俺を引き寄せた腕が逞しかったとか、何もつけてないはずなのにいいにおいがしたとか。
そのときはなんでもなかったことまでよみがえってきて……。
家に帰りつくまで俺の心臓は不整脈を起こしたままだった。
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