ep.2

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俺が仁科さんの家に住み始めて1週間。 始めはぎこちなさのあった関係も今ではすっかり慣れて、いい雰囲気になってきた……と 俺は思っている。 呼び方だって 『仁科さん』から『秋さん』に 『三枝』から『ハル』に昇格したし、 一緒にテレビを見たり、ご飯食べたり、 秋さんも俺のことを気に入ってくれてるように感じる。 それに、だんだんと今の生活に感化され始めている自分がいる。 もともと家事をしたりするのは嫌いじゃないし、どちらかと言えば世話焼きな方である。 秋さんみたいなタイプはほっとけない。 だけど普段の俺はもう少し性格が悪いという自覚がある。 今みたいに無条件に愛想をふりまいて従順にしている姿を悪友たちに知られたら本気で病院に行けと言われるだろう。 そんな自他共に認める曲がった性格を持ち合わせている。 そんな俺が秋さんを落とすために始めたこの猫をかぶりにかぶった偽りのキャラをそう長く続けていられるはずもなく、1週間で秋さんをものにして見せる!と意気込んでいたのだが……。
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