138人が本棚に入れています
本棚に追加
家事をあらかた終わらせリビングでテレビを見ていると呼び鈴がなった。
秋さんが忘れ物でもしたのかと思ったが秋さんならわざわざ呼び鈴をならしたりしないだろう。
この家に訪ねてきたということは秋さんのお客さんだろうし、自分が勝手にでていいものかと悩んでいると、立て続けに呼び鈴が押される。
仕方ないから出るだけ出て誤魔化そうと考えて玄関に向うと、
「こらぁっ、治臣居んだろうがさっさと出てこい。」
外から聞き覚えのある怒鳴り声が聞こえてきて、俺は勢いよくドアを開けた。
「信悟っ!?」
ゴンという凄まじい音がした。
が、気のせいということにする。
「おいこらふざけんじゃねぇ、気のせいじゃねぇよ。てめぇが勢いよく開けたドアが俺の顔面に激突したんだよ。今すぐ両手ついて謝れやこの家出坊主がっ!」
「ごめんごめん。て言うか、お前が怒鳴るからだろ。人様ん家の前で騒いでんじゃねぇーよ。」
やはりあの重い衝撃音はドア板と人間の頭部の接触音だったらしい。
早口でまくし立てる男に負けじと言い返しながら衝撃から立ち直った目の前の友人もとい悪友にデコピンをお見舞いする。
「だぁっ!おま、打ち付けたとこにデコピンって……」
「はいはい、五分で準備するからちょっと待ってろ。」
再び悶絶したそいつを放置して俺は一旦部屋にもどり、きっかり5分後またやかましく文句を言うそいつを連れて近くのコーヒーショップへと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!