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「みんなおはよう!」
「「おはようごさいまーす。」」
オフィスに入ると元気のいい挨拶が返ってくる。
「室長。コーヒーどうぞ。」
席につくと本田さんがコーヒーを持ってきてくれた。
「あぁ、ありがとう。」
本田さんは去年入社したばかりの23歳だが、仕事は早いし気が利く。
いつも淹れてくれるコーヒーはインスタントなのに美味しい。
ありがたくコーヒーを味わっていると本田さんがにこにことしながらこちらを見ていた。
「ん?どうかしたか?」
なにか話でもあるのかと思って尋ねれば、
「あ、すみません。……室長が元気になって良かったなぁと思って。」
と言われて驚いた。
「そんなに元気がなかったように見えてた?」
「えぇ、この1ヶ月どことなく落ち込んでらっしゃるように見えて……でも最近は調子が戻ってらっしゃるみたいなので安心しました。」
会社ではいつも通り振る舞っていたつもりだったので、彼女の洞察力に感服する。
「心配してくれてありがとう。」
「いえ、でもなにか悩んでるときは一人で抱え込まない方がいいですよ。……私でよかったらいつでも相談してくださいね。」
笑顔でそういう本田さんに、少しばかり甘えたい気分になった。
「本田さん……。例えばなんだけど、年下の恋人ができて、素直になりたいんだけどなれないときってどうしたらいいと思う?」
口に出してしまってから気づく。
全然例え話になってねぇっ!
俺は年下の……しかも部下の女の子になにを言ってるんだ。
いや、やっぱり忘れてくれ
そう言おうと思ったがもう手遅れだった。
本田さんの目がきらきらしている。
「室長の悩みって恋人のことなんですねっ!それはじっくりお伺いしなくては。……あ、よろしければお昼ご一緒しません?きちんと聞かせてくださいよ!」
あっと言う間にお昼を一緒に食べる約束までしてしまった。
「もちろん誰にも言わないんで安心してくださいね!……じゃあ、お昼になったら迎えに行きます。」
「あ、あぁ……」
「ではまた後程。」
そういうと本田さんは自分の持ち場へと帰っていった。
本田さんがあんなにパワフルな子だったとは……。
新な発見だった。
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