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昼休み。
俺と本田さんは社員食堂にいた。
本田さんはAランチ。
俺はハルの弁当。
なんとも言えない状況にため息がでそうになる。
そんな俺の心情など意に介さずサラダを頬張る本田さんを見る。
ぱっちりとした大きな瞳にはっきりとした顔立ち。控えめな化粧がよく似合っていて、綺麗にセットされた髪は毛先までつやつやである。
普通ならば、そんな魅力的な女性と二人で食事なんてしていたらあらぬ疑いをかけられそうなものであるが、彼女の場合は心配ない。
いや、心配ないと言うのも少々語弊があるのだが……。
「今日は吉平(ヨシヒラ)さんはいいんですか?」
「はい。可奈子(カナコ)には言ってあるんで。」
吉平可奈子(ヨシヒラ カナコ)さんはこの会社で受付嬢をしている本田さんの恋人である。
本田さんも吉平さんもまごうことなき女性であるが、相思相愛の社内カップルであり、社員の中で彼女達の仲を知らない人はいないだろう。
ちなみに吉平さんは俺と同期だ。
そんな彼女であるから今さら同じ部署の上司と食事をしていたとしても……
まぁ、問題ないはずだ。
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