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「あのさ、本田さん。朝の話なんだけど……。」
本田さんがサラダを食べ終わったタイミングで俺は切り出した。
忘れてくれない?
と続くはずだった言葉は本田さんの有無を言わさぬ瞳に押し戻された。
「室長。」
「は、はい。」
静かに呼ばれて思わず敬語になってしまった。
「私、室長にはいつも元気でいてほしいんです。綺麗で仕事ができて優しくて厳しい室長に憧れてるんです!ここ最近の愁いを帯びた表情も素敵でしたけど(そりゃもう私達の妄想が爆発しましたけども!)やっぱり室長には笑顔が一番似合います!ファンクラブ代表としてその笑顔を曇らせる要因をほっとくわけにはいきません!」
ものすごい勢いで熱く語られて目がテンになる。
え、ファンクラブってなに!
副音声ですごいこと言ってなかった?
いろいろとツッコミどころ満載な主張をされた気がするが、深く追及するのが怖いのでやめておく。
理由はともかく心配してくれているわけだし、話してみてもいいかなという気にもなってきた。
どうせ一人で考えたところで答えなんか出やしない。
それに、彼女の申し出は断る方が骨が折れそうだ。
「じゃあ、聞いてもらえるかな?……実は………………。」
俺は、ハルが男であることや、同棲していることは隠しつつ、本田さんに今の状況を話した。
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