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「うーん、そうですね……。年下だからって思うからいけないんじゃないんですか?対等だと思えばいいんですよ。」
「対等だと思う……?」
本田さんの言葉に自分の行動を振り返ってみる。
確かに、付き合いだす前は自分のことで手一杯で今よりもっと素直にハルに甘えていたかもしれない。
それに自分の中に男同士であり、ただの家主と居候という一線を守らなければという思いがあったから……。
「歳上の余裕とか、歳上だから自分がリードしなきゃとか考えちゃうから意地をはっちゃうんじゃないですか?」
「……なるほど。」
年下のくせにとか
俺の方が歳上なのにとか
いつも心の中で叫んでいるセリフが思い浮かぶ。
「やっぱり、相手の方もたまには甘えてほしいと思いますよ。室長みたいなしっかりした人ならなおさらに。」
「そういうもんかなぁー……。」
「だって想像してみてくださいよ。普段はかっちりしてるキャリアウーマンが自分にだけ甘えた姿を見せてくれるってすごくぐっときません?」
本田さんの言葉に想像を膨らませる。
……うん、悪くない。てか、いい!
「悪くないな……。だけどそういう立場に立ったことがないからなぁ。」
情けない話どうしたらいいのかわからない。
「あっ!だったらこういうのはどうです?………………みたいな。」
「え?俺が?」
本田さんの提案にびっくりした。
が、こちらは相談してる側だし、最初から無理だと決めてかかるのは良くない。
「……やってみるよ。いろいろありがとう。貴重な昼休みを使わせちゃって悪かったな。」
時計の針は休み時間が終わる時刻の5分前を指している。
「いえ、こちらが無理に聞きに来たようなものですし、たくさん萌えを提供していただきましたから!報告待ってますからね!」
そう言って本田さんは失礼しますと頭を下げると仕事場へ戻った。
同じ部署なんだから数分後には顔を合わせることになるのだが……。
それよりも問題は本田さんの提案で、やると言ったからには実行しなければならない。
本当にできるのだろうか……。
俺は静かにため息をついた。
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