ep.4

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風呂からでると、リビングのソファーで秋さんがテレビを見ていた。 髪の毛がまだ濡れている。 いつもならきれいに乾かしているのに……。 秋さんは俺に気付くと、そろりと上目遣いにこちらを見上げて 「髪の毛乾かして?」 と言った。 だぁぁぁぁあああっ!ふ なんだこの殺人的な可愛さは! 俺をときめきで殺すつもりか! やばいやはいやばい! 心の中で絶叫しつつ、平静を装って差し出されたドライヤーを受けとる。 秋さんの指通りのいい髪をすきながら、傷まないように優しく乾かす。 「熱くない?」 「ん、大丈夫。」 そんな何気ない会話をしながらも俺の心はパニック。 やっぱり何か悩んでるんじゃなかろうか。 いや、でも秋さんが言わないのをこっちから聞いても……。 でもでも、心配だし……。 うーん。甘えてくれるのは悪い変化じゃないし……。 どういう意図かわからないと迂闊に手が出せない。 それでなくても俺たちの関係はデリケートなのだ。ひとつひとつ慎重に動かなければあっという間に崩れてしまう。 秋さんが大切だからこそ、初めの一歩を見誤るわけにはいかないのだ。 だから今は我慢だ。 どんなに秋さんが可愛かろうが、きちんと秋さんの気持ちを伴った上でなければ。 秋さんはきっと俺から手を出さば流されてしまうから……。 それではだめなんだ。 秋さんが欲しいと思ってくれるまでは……。 そう決意した。 が、すぐにそれを後悔することになる。 この可愛らしいおねだりは1ヶ月以上続くことになるのだから……。
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