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昼休み。
1ヶ月前と同じように本田さんとお昼を共にしていた。
「で、どうだったんですか?作戦の成果は。」
「ああ、まぁ成功と言えば成功っていうか……。」
単刀直入に聞かれ、なんといっていいかわからないので曖昧にこたえる。
「はっきりしませんねぇ。なにがあったんです?」
本田さんの大きな瞳にじっと見つめられてたじろぐ。
「なんていうか、よりいっそう甘やかされてるというか……。結局ハルの仕事を増やしただけで現状はなにも変わってないというか……。あいつの喜ぶことをしたかったはずなのに、俺ばっかりもらってて本末転倒っていうか……。」
素直に今の現状を報告する。
なぜか本田さんには逆らえる気がしない。
本田さんは腕を組んでなにやら考え込んでいる。
「それはつまり……彼氏が完ぺき過ぎてコンプレックスを感じるってことですか?」
完ぺき過ぎるっていうのは当たっているがべつにコンプレックスを感じているわけではない。
強いて言うならもっとハルにもわがままを言ってほしい。
俺がもうハルなしじゃいられないみたいにもっと俺を求めてほしい。
そりゃ体のつながりがそれとイコールなわけではないけど、男同士だからこそ、確かに感じられる形で示してほしいと思う。
それがわがままなことだとわかっているから自分からは言い出せない。
「いや、そういうわけじゃないよ。ただ……………………ん?」
今、本田さんはなんと言った?
『彼氏が完ぺき過ぎてコンプレックスを感じるってことですか?』
……………………!?
彼氏!?
「ほ、本田さん。彼氏って……?」
本田さんに相手が男だと言った覚えはない。
ただのいい間違いだよな……?
そう自分にいい聞かせていたが、本田さんはあっさりと言ってのけた。
「あれ?室長のお相手、男性じゃないんですか?」
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