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「…………」
バシッ
暫しの沈黙の後、ご主人様は魔女を叩いた。
「いた~い~。
な~んでぶつかなぁ~」
打たれた頭を摩りながら魔女は文句を言う。
「いや、非現実的な事を聞いたから夢ではないかと確認してみたんだ」
そう言ってご主人様は目をパチパチさせている。
「そういうのってフツー自分の頬をつねるんじゃないかな~?」
魔女は顔を引き攣らせる。
若干、怒ってるみたい。
「ふっ。
相変わらずデマカセが上手いな、優里亜君」
チラリとご主人様はあたしを見て鼻で笑った。
「ユーキも相変わらずだわさ。
完全なる現実主義者。
非現実な事は認めない。
だから、ワシが占いや黒魔術を好むのも毛嫌いしてるんだよね。
よくそれで作家やってるよの~。
頭かっちかち~」
ため息混じりに魔女はいう。
にゃんだか、人間の世界って大変にゃのね。
「帰れ。
今すぐあの薄暗い館に帰れ」
無理矢理ご主人様は魔女を立たせた。
「ご主人様。
どうして魔女の事信じてくれないの?」
あたしは何だかだんだん悲しくなってきた。
大好きなご主人様はあたしを認めてくれない。
「あのね。
君もさ、早くメイドの国へ帰りなさい。
優里亜の生贄になる前に……」
ギロリとご主人様は魔女を睨む。
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