幸せにゃ時間。

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「ははっ、ちょっと待ってて。 生で食べたら人間と違うからぐるぐるぴーになったら大変だろ?」 そう言ってご主人様はサーモンを軽く炙ってくれる。 香ばしい匂いが涎を誘う。 「ん、こんなモンかな。 熱いから冷めて食えよ」 あたしのお皿にサーモンが入る。 でも猫舌だから食べられにゃい。 暫し待つ。 「うにゃうにゃうにゃ」 冷えたのを確認し、口に運び舌鼓する。 幸せにゃ~。 旨いにゃ~。 「うにゃうにゃ言って食べてる。 余程旨いんだな」 そう言ってご主人様はあたしの頭を優しく撫でる。 ご主人様の手はとても綺麗。 繊細な指に大きく温かい手は、あたしを虜にするにゃ。 この温かさは出会った頃からちっとも変わってにゃい。 ご主人様が言うにはあたしと出会ったのは、ここに越してきてすぐだったらしい。 あたしは狭く暗く冷たい箱の中でガタガタとふるえていた。 人間にゃんて嫌いだった。 あたしとママを引き離して、こんなとこに押し込んだ。 あたしは鳴いていた。 聞こえるはずがないのに一生懸命ママを呼んでいた。 気付いたらあたしは鳴くのに疲れ、眠っていた。
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