幸せにゃ時間。

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眠るあたしにヒタヒタと冷たいものが降り注いできた。 冷たさで目が覚める。 体力が奪われて行く。 こんな事で猫生を終えるのかにゃ……。 そう思っていた時、冷たいものは止まった。 そしてあたしの体はふわりと浮き、温かい布に包まれた。 恐る恐るあたしは顔を上げる。 一人の人間があたしを抱きしめていた。 トクントクンと人間の鼓動が聞こえてきた。 「ぎにゃにゃ!」 人間! 人間にゃんて嫌いにゃ! 嫌いにゃ! 嫌いにゃ! 嫌いにゃ! あたしは抵抗し、毛を逆立て人間を引っかく。 人間の手から血が滲み出る。 でもこの人間はあたしを手放すどころか、更にギュッと抱きしめてきた。 「……怖かったんだね。 ごめんね。 人間の勝手な都合でこんな目に合わせてごめんね……」 人間はふるえていた。 人間の顔を見ると目から透明の液体が流れていた。 ペロリと舐めてみた。 ……しょっぱい。 「俺が泣くなんて筋違いだな」 そう言って人間は目をごしごし拭いた。 この人間はあたしの為に泣いてくれた。
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