1 ポンちゃんとわたし

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 彼の名前は「ポンコⅡ型」と言います。  らしいです。  と言うのも、『彼』はわたしが初めて出会った頃から名前を一切教えてくれていないからです。しょうがないので、人間で言う腰に貼ってあったタグから、とりあえずの名前を決めることにしました。 「PONKO―Version2」。どうやらポンコの二機目ということみたいなので、ポンコⅡ型。ひらがなにすれば「ぽんこにがた」。名前を付けたあの時から時間は進んで、今は大体ポンちゃんとか、ポン子とか、自由に呼んでいます。  その度怒られますが。  別に怖くないので気にしてません。  ところでポンちゃんは世にも珍しい野良ロボットで、本人いわく「俺は誰にも管理できねえ」とのこと。さすがに中学生になったわたしは、野良ロボットってちょっとおかしいなと思い始めています。だけど、誰かに聞いたらどこかがおかしくなりそうなので、まだこの宿題はわたしの胸の中にしまってあります。 「ポーンちゃーん」  そんなこんなで、今日もわたしはポンちゃんに会いに行くのです。わたしの住む街には、町中を見渡せる丘があって、そのてっぺんのとても大きな木の下に、ポンちゃんはいつも座っています。嘘です。たまに立っています。今日は座っていました。 「……なんだ、また来たのか」  と、ポンちゃんはわたしが来るといつもそう言って、うっとおしそうに帰れ帰れとも言うけれど、本当はそうは思っていません。  都合のいい予想かもしれないけれど、多分そうなのです。だからわたしは、 「ポンちゃんの嘘つき」  と、よく言います。決して悪いからと責めているわけではなくて、大人で言う『しゃこうじれい』ってやつです。
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