1 ポンちゃんとわたし

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「ロボットは嘘をつかねえって、相場で決まってんだよ」  かっこつけて、ポンちゃんがそう返します。ここまでがわたしたちのあいさつ。 「つうか、ロボットは嘘吐けないようにプログラミングされてるんだっつうの。人間にとって邪魔な機能なんだよ、嘘ってのは」 「そうなんだ。かっこいいね」 「や、こういう自虐ネタに対してなんか言ってくんねえと、俺が嫌な奴みたいになるじゃんか?」 「ポンちゃん、嫌な人なの?」 「ちひろ、お前のせいでな。正確には嫌なロボットだがよ」  ロボットは嘘をつかない。  ポンちゃんの主張です。確かにわたしの家にいるお手伝いロボットも、街中にいるお掃除ロボットも、決して嘘をつきません。学校でもそう教えられています。  だけど、ポンコⅡ型は違うんです。  だって、嘘もつくし、気配りもするし、わがままも言うし、怒るし、口うるさいし、とにかく人間みたいなんです。むしろ、普通の人間よりも人間らしいんです。  ずっと前にこのことを聞いてみたら、 『他のロボットと違う理由? そんなん、俺にもわからねえよ』  と首をぐるぐる回しながら言っていました。ロボットって人間よりもずっと凄いことができるなあと思ったのを覚えています。首をぐるぐるさせる意味は分からないです。  ちょっと変なところもありますが、ポンちゃんは大事なわたしの友達ということが、ちょっとでも伝わっていたらいいと思います。 「今日はまたどうした?」
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