心。

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夢の中で、誰かに呼ばれた気がした。 とても小さな声で、でもはっきり。 これって、夢じゃない? そう思うと ドアが開く音で、目が覚めた。 白い天井と暗めの電気。 自分の一人暮らしの家とは違くて、ずっと広くてきれいだった。 「起きた?」 「え、あ…」 状況を把握すらできない。 なんで、ここにいるんだ? ここ…って、どこ? あれ、この人だれだっけ。 「ふっ…大丈夫?」 笑った。 ちょっと大人っぽくて、魅力的な笑い方。 「んー、やっぱダメ…かな?」 顔の前で手を振られて、意識を確認されてる。 だけど、その困ったような笑顔を、みていたかった。 「水、飲む?」 ペットボトルの飲み口が近づくと、口元に触れた。 手が動かないから、受け取れない。 「開けー…」 唇に彼の指先が当たる。 反射的に手を払った。 顔が熱くなる。 「あ、ごめ…」 「んーん、こっちこそごめん。 反応してくれて、良かった。」 無視されてんのかと思った、なんて言いながら、水を渡された。 「ここ…どこ?」 一口だけ飲むと、喉を通って胃に入ったことがわかった。 「俺の家だよ?」 それはなんとなくわかるけど… 今、何時だろう。 「もうさ、2日目も寝られた時には焦った。」 「え…2日?」 携帯で日にちをみると、この町に来たのは、1月23日。 今日は、1月25日…
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