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本当に、こんな事があるのかなってくらい。
真っ暗な部屋。
所々に夜の明かりに反射して、光るもの。
「こ、た?」
声に出たかも分からない声。
空気中に少しの振動があるだけ。
靴を脱ぐと、タバコの匂いとアルコールのツンとした匂いが漂った。
「…ゆう」
部屋の奥から、確かに聞こえた声に過敏に反応してしまう。
「こた、どこにいるの?」
明かりをつけると、タバコの吸い殻。
洗面台。
寝室の部屋のドアノブ。
目につくところは、赤く染まっていた。
絶対、寝室にいるのは知ってる。
だけど、怖かった。
この奥で、前のような事があるのかなって。
それでも、ドアノブをつかむ。
手にヌルッとした血。
ゆっくりと、慎重に開けた。
目の前が、暗くないようにと、誰かに祈りながら。
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