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――傍観者の仲間――
「……消えた。……行ったのか?」
茶髪の男が呟く。
「行ったねー」
ブロンドの男はサングラスを外し、背伸びをする。その額には汗一つ浮かんでいない。
その男に、ふわふわと浮かぶ球体が近づく。
「カイト特製、『追跡クン1号』も快調でよかったよー」
「浮いたり、行き先が分かったり……どういう仕組みで?」
球体に頬ずりするブロンドの男に若干引きつつ、茶髪の男は訊ねる。
「知りたい? 向う100年で生まれるか否かの技術だよ、また命狙われたい? 不運少年の良介君」
「……遠慮させていただきます。あんたらのせいで1回死にかけたし」
「それは、我らがボスに言ってねーっと。『追跡クン1号』が浮くのは秘密だけど、このサングラスとリンクしててねー。リアルタイムで伝えてくれるんだよ。……さて、仕事終わったし? そろそろ職場行かないとー」
「……その格好で? 相変わらず、自由で」
「偉いからね、オレ」
ブロンドの男は黒縁の眼鏡をかけた。「さー、君も帰って着替えないと、学校遅れちゃうよー」
「……日曜なんで」
茶髪の男、もとい良介は肺にたまった空気を吐き出した。
物語は、裏方たちの日常を通り抜ける。
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