758人が本棚に入れています
本棚に追加
「疑問も解消したところで、部屋行くぞ。掃除する。一宮が普段、埃落としてるから、楽なはずだ」
キリヤが席を立つ。
続いて椅子から飛び降り、ニヤニヤと下賤な笑みを浮かべた黒羽が、立ち上がろうとした柾の肩に手を回す。
「まめだなァ。まあ、身長的にもまめッぽいし……、おめェ“まめ”な」
「え? あだ名? まじ? おれ初めてつけられた」
からかいのつもりだったのだろうが、柾からは喜びの声。
「え゛ェ……」
そうじゃねェよ。そう言う彼の狙った言動が正常に働くことはまたもない。
損な役回りである。
「そう言えば、家主に挨拶とかって……」
「え? キリヤさんよ」
「え、まじ?」
知らされていない事実に結城は驚く。
「ああ、良い響きだよな。不労所得って」
「……」
『働くの好きだけどさ、働かないときに安定してお金が発生するといいよね。土地がほしいな』
あの流離いのフリーター、飯田シュウの発言が、ふと浮かぶ。
「この親子わからん。いや、わかりたくない」
最初のコメントを投稿しよう!