第六章 主役は町へ赴き、カラスが祓われそうになる

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――代表と主役――  現在の日付は5月6日。  向こうで追われたのは3月。  ここに来て1週間ほど。  どう考えても日付が合わない。  覇王、神坂ルイは言った。 『一つの世界の時間は一本の線。だが、体感時間は各生物、各個体によって違い、様々が絡み合い蛇行する。 各世界の線は交わることはなく、近づいたどこかのタイミングで迷い込む隙間が開く。 そんな気まぐれの中で、希望の世界の希望の時間帯へ移動できるものは少なく、ほとんどが一方通行だ』  ……よくわからないがズレがあるらしい。  異世界だから。という言葉で片付けてもらってもよかったのだが、ルイは、帰るのは難しいのだ、と強調かったのだろう。  言われたところで、そう簡単に諦めることは出来ないが。  しかし、このズレはどうしようか。誕生日が過ぎてしまっている。  話し合いの結果、結城ユウトは17歳となった。 「柾でいいよ、まーさーき。因みに上がるところ間違えるなよ。えーと、あれだ。とーけーいと同じだ」 「わたしは、好きに呼んでもらっていいわ」 「じゃァ、お嬢」 「ちょっと……」 「じゃァ、空から降ってきた美少女と思いきや暴力女、大魔王……鬼女!」 「黒羽さん、柾と戦えなかったこと根に持ってるの? ……もういいわ、最初ので」  掃除も終わり、場所はダイニング。部屋にこもったキリヤを待つついでの雑談タイムである。  呼ぼうかとも思ったのだが、一宮柾と羽崎カナハに「無駄だから」と止められた。  聞けば、居ないのではないか、という程反応がないのだという。  まあ、部屋からどこかに消えるなんて、キリヤなら出来そうだ。などと結城は思ったのだが、2人の反応は結城とは違った。
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