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「ああ……は?」
予期せぬ場所への不意打ち。
別にこちらも口止めされていたわけではない。だが、まだ言っていないのは事実である。
それを何故。タイミングがいいとも言えない今、何故。
結城はぎこちなく、ニコニコ笑いながらこちらを見上げる一宮柾に、一度逸した目線を戻した。
「頭の打ちどころ、悪かったのかしら?」
「おいおィ……」
そんな事情を知らないカナハは首をかしげ、黒羽は、今バラしちゃつまらないじゃねェか、と頭を抱えた。
そこの使い魔、ちょっと待て。
「あれ、言っちゃいけないっぽかった?」
結城の混乱の元凶、柾は頬を掻きながら苦笑い。
彼は行動が直球である。
「いけないってわけじゃねェけどよォ。なんでわかった」
「んー勘。なんか、ユウトの気がここの空気に馴染んでない感じが……したのか?」
「いや、聞かれてもわからないからさ」
勘でそこまで分かられたら困る。というか、気って空気に馴染むのか。
気やら神やら魂やらの存在が、見える見えないは別として、ごく一般であることは何となく感じていた。だがやはり、感覚としては分からない。
だが柾のような存在は、また別なのだろう。
ここへ来てから無い経験である。
「ちょ、ちょっと待って。柾が言っていることが正しいの? それじゃ、ユウトくんって……」
カナハは戸惑いながら、結城を指差す。
「《異界の旅人》らしいです」
その後、キリヤが部屋から出てくるまで、結城は2人の質問攻撃に悩まされることとなる。
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