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1枚目の方陣式に魔力を注ぐ。すると、飾りも何もなかった紙のふちに模様が浮かび上がった。
それを見届け、結城は息をつく。
やはり、未だ魔力に慣れていない彼には、書類に必要な少量の魔力の捻出も重労働。
「わからない場所はないか」
「あ、はい」
結城が2枚目に取り掛かろうとすると、城ノ内が声をかけてきた。
先程のこともあり、いきなりだった為、結城は一瞬体をこわばらせ、ぎこちなく彼を見上げた。
そこにはやはり仏頂面の強面である。
城ノ内は静かに続けた。
「……1週間ほど手続きにはかかる。戦専の担任も1週間いない。だから1週間後、それまでに準備をしておけ。
わからなくなれば、気兼ねなく聞けばいい」
「……はい」
何か言われるものだと結城は勝手に思っていたのだが、そこに落ちてきたのは気遣うような言葉。
「色々言いはしたが、ここへ来たこと、歓迎する」
軽く結城の肩をたたき、城ノ内は代表の方へと向きを変えた。
「……ありがとうございます」
「アザーッす」
結城は戸惑いながらも礼を言い、続いて、黒羽も片手をあげて軽く言った。
城ノ内はそんな黒羽を見、眉間にわずかに皺を寄せ、一言。
「お前には言っていない」
後ろで、代表が腹を抱えて笑った。
「こえェ。つゥか、オレ嫌われる率たけェ。差別じゃねェ?」
黒羽は、苦笑いを浮かべた。
差別というよりも、当然の結果である。
「くろぶは存在がアレだからな」
「おィ」
「ああ、アレね」
「……ユウト」
オレに人権はねェのか。黒羽は悲しく呟いた。
人権もなにも、人ではない。
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