第二章 主役は青年に助けられ、驚愕する

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――森の青年―― 「……行け【炎光弾】」  指の先から放った炎と光の色を(まと)った球が、狼の胴を貫く。  狼は10秒ほどすると、ばたりと倒れ、体から流れる体液は、その場所に水溜りをつくった。 「……」  締まった痩身の身体、静かな空気を纏った青年は、血だらけの現場より20メートルほど離れた木の上から観察する。  叫び声に様子を見に来てみればこれである。  迷惑な話だ。青年は溜息をついた。  狼に襲われていた男は、10代後半か20代前半、パーカーを着た中肉中背。狼の体当たりを受けて意識を保てていたということは、鍛えてはあるということらしい。  そうこうしているうちに、男が左腕を押さえ、糸が切れるかのように地面に倒れこんだ。 取り敢えず、行くか。  青年はそこから飛び降り、苔が絨毯(じゅうたん)を作る地面を静かに踏みしめ、男の場所へ歩みを進める。
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