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レーナが居ることに驚くべきなのはわかる。
しかし、顔を合わせてからというもの、レーナは時折、寝起きの結城を疑似金縛り状態を作って驚かす、という彼からすれば素直に喜べない遊び--“金縛りごっこ”を仕掛けてくるようになった。
毎度毎度飽きずに驚きはするが、困ったことに、いつもの光景になりかけているのだ。
止められるものなら止めたい。
ただ現状、『入口であれば鍵がかかっていても入れる』らしい半ゴーストである彼女の侵入を防ぐ術はなく、ずるずるとそれを受け入れる形になってしまっている。
驚かないのも不可能。最終的に抱きついてくる、彼女の氷のような体温に慣れることはできない。
そもそも、10も離れた女性がやることではない。何度か説得を試みたが、レーナは「だからこそよう」と答えるわけで。
結城は小さくため息をついた。
それを見て何を思ったのか、奥菜蓮は頭を傾ける。
「邪魔なら、出ていく」
「いや、むしろいてほしい」
居なければ、確実に抱きついてくる。居ても無駄な気はするが。
「抱きつかれておいて、何も、しないのか」蓮も事情を知っているらしい。
「……しないっしょ、普通」
そんな関係じゃない。結城が言えば蓮は目を見開き、ゆっくりと口を開いた。
「ヘタレ、だな」
口調は穏やかながらも、結城に対して向けられた言葉には明確に、彼の傾向というべきか意思のようなものが含まれていて
「……肉食系ベジタリアン……?」
それを悟ってしまった結城は、呆然とし、その通りではあるが意味不明な言葉を口走った。
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