第二章 主役は青年に助けられ、驚愕する

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「薬草諸々と乾燥させた狼のアレを擂り潰して……ってのは冗談で。おいおい大丈夫か? 冗談だって」  最初の説明で、結城は盛大に咽た。  男はそれを見、ケタケタと笑う。  笑みを浮かべたのはそういう理由らしい。つまり、結城は弄ばれたわけだ。 「まあ、そういうのもあるけどね? 主に精力剤系で。それは、薬用の酒とか、さっきの狼の血とかが入っているんだよ」  さっきのメスだったしね。そうつけ加え、男は未だに咳き込む結城を面白そうに、ただただ眺めていた。  風が吹く、心地いい風だ。  薬のおかげか、体調がだいぶ落ち着いてきたのを結城は感じた。 「……ある程度落ち着いたところで、少年は言った」 「なんゲホッ……なんすかそれ」  男が突然言葉を発し、それに驚きまた咽ながら結城は訊ねる。 「俺が本を書くならそういう展開だなあ。と、此処までの数分間を文章にしてたら思った」  思った以上に、くだらなかった。  思案するように真剣な顔でそれを言った彼は、結城の冷めた目に気付き、続ける。 「いや、名乗るタイミングを無くしたなあ。と思って」そう言い苦笑した。 他に話題、無かったのだろうか。 「……ま、そんなわけで、俺はキリヤ、九条キリヤね」  心でつっこむ結城をよそに、九条は手を差し出した。 「結城ユウト……っす」  つられて名乗り、結城は同じく手を差し出す。 「ユウト君……いや、ユウトで良いよな? よろしく」  結城と九条は、互いの手を握った。
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