第十四章 外に出た主役は、少年に問われる

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――寄る土地神―― 『久々だったな、あの空気、あの魔力。間違えなく、彼は(から)の民の末裔』  静かな空気の流れる空間に、主の見当たらない声が響きわたる。  屋敷の中であるその部屋の中央では、数100年と生きる木がそびえ、それを取り囲むように床から突き出た7つの水晶の塊が、2つを除いて輝いている。  ここは、土地神が唯一、“移る”という方法で各地から集まることのできる神聖な場所である。  青年が訪れ、会った後のこと。  土地を守る神たちは、話をしていた。  水晶の輝きは、かれらの存在を示している。 『同じではあるまい。少なくとも最後の王以上の力は持っていた』 『知識もだね、まったく末恐ろしいよ。大陸の行く末を案ぜずにはいられない』  声が響く度、水晶は内から光を放つ。  案ずる、そう言いながら、土地神たちの語調は、気の抜けてしまうほど緊張感のないものだった。 『先代は大人しかったが、今のは積極的だからの。約束を持ち出してくるじゃろ。どうなるかね、ウー』 『わたしに聞かなくとも……ねえ?』  ウーと呼ばれた女性の声は、含んで笑った。 『手前の方がはっきりと見える。みなそう考えている。アンダーの孫とも繋がってるしな、シリウスのが伝えてこないことも入ってきているのだろう?』 『……どうでしょう?』  ウーはわざととぼける。
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