第十四章 外に出た主役は、少年に問われる

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『おいおいおいおい……』 『いいじゃろうが、もったいつけんでも』  複数のヤジが飛び、ウーはため息をついた。 『だって、あまり変わりがないもの。ここの空席が埋まる率が少しうつろうのみ。それに、見える先のコトは、みなで知る必要はない。違う?』 『シリウスのと同じようなこと言いやがって!』 『おっさんは、うるさい』 『あのひとは、ともに持つべきコトまで陰にやる。ひとまとめにしないでちょうだい』  ウーの言葉に、怒鳴った声が狼狽える。 『すまん。あれとは辛いな』  シリウスの土地神は、土地神の間でも評判が悪い。 『……今日も来ていないし、あれはどうしてああなんだ』 『強いからだね』 『それも良し、かな』 『ウー、それはさすがに甘い』 『そう? わたしたちは圏域を守るだけなのだから、よいと思うのだけれど。……それより、アヤメちゃんを入れてあげて?』 『ああ、そうだね。遠慮せずに入りなよ、アヤメ』  土地神が呼ぶ。と、部屋の引き戸がゆっくりと開いた。 「お話しが弾んでいるようでしたので」  正座をした女性が、小さく笑っていた。
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