758人が本棚に入れています
本棚に追加
/882ページ
『おいおいおいおい……』
『いいじゃろうが、もったいつけんでも』
複数のヤジが飛び、ウーはため息をついた。
『だって、あまり変わりがないもの。ここの空席が埋まる率が少しうつろうのみ。それに、見える先のコトは、みなで知る必要はない。違う?』
『シリウスのと同じようなこと言いやがって!』
『おっさんは、うるさい』
『あのひとは、ともに持つべきコトまで陰にやる。ひとまとめにしないでちょうだい』
ウーの言葉に、怒鳴った声が狼狽える。
『すまん。あれとは辛いな』
シリウスの土地神は、土地神の間でも評判が悪い。
『……今日も来ていないし、あれはどうしてああなんだ』
『強いからだね』
『それも良し、かな』
『ウー、それはさすがに甘い』
『そう? わたしたちは圏域を守るだけなのだから、よいと思うのだけれど。……それより、アヤメちゃんを入れてあげて?』
『ああ、そうだね。遠慮せずに入りなよ、アヤメ』
土地神が呼ぶ。と、部屋の引き戸がゆっくりと開いた。
「お話しが弾んでいるようでしたので」
正座をした女性が、小さく笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!