第十八章 主役と英雄は再会し、再認する

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「いやいやいや……」  結城は首を振り、“手遅れ”を否定する。 「そ、そういえばさ、ルイさんはなんか言ってた?」  “手遅れ”から逃避し、話題を変えた。 「『近々イダがそっちへ行く、うじうじしだすと面倒だから、今のうちにガツンと言ってやってくれ』だと」  結城は、黒羽の精度の高い声真似を頭の中で何度か再生する。 「……だからか」納得した。  よくよく考えれば、おかしいと思っていたのだ。 「シュウが、“どうすればいいかわからない”のに来るわけないよな……」  飯田シュウは、一応自らやって来るときには、用件を作ってくる。  「泊まらせて」とか、「飯ちょうだい」とか、「追われてるから匿って」とか、「ジュース買いたいから150円貸して」とかというくだらない用件。なんだかんだで、結局居座るのだが。 「……あ、ジュース代返して貰ってねえ」  大したことのない貸しを思い出した。 「おお、そうだそれから」黒羽はポケットをごそごそと漁り、「覇王から預かってきたぜ」角がよれた封筒を差し出してきた。 「え? もう返事?」  というか、ルイさんからの手紙の扱いはそんな雑でいいのか。と、心の中で文句を言いながら封を切った。  指先に灯をともし、それを黒羽に預ける。  照らしてもらいながら中を見れば、高級そうな厚手の紙が2枚、3つ折りに入っていた。  その紙を開けば、流れるようで豪快な文字が、縦に並んでいる。  それを、目で追っていく。  と、その目はある1文、いや、1文字に足止めされた。 「……すっかり忘れてた」  その1文を何度も読み返し、1文字を変わるはずもないのにジッと見つめた結城は、頭を抱える。 「城かよ……?」 やっぱり、手遅れかもしれない。  一瞬そんな予感が頭をかすめるも、「いやいやいや………!」主役はまた首を振ってそれを否定する。
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