758人が本棚に入れています
本棚に追加
/882ページ
――洞窟の??――
誰も知ることのない洞窟。
岩いわから染み出す水の珠が、先に落ちたそれの作る池に落ち、はかない音と共に、波を立てる。
それは、静かに表情もなくその様子を眺める。
「聖水はなぜ聖水となったのか。
その昔、この世では神の加護を得るとされ、悪魔を払うために使われたソレは、悪の気に触れると反応し、かけられた者を苦しめるものだった。
だが、悪の気の無いものなど存在しない。
すなわち、聖水は生けるものにとっては毒水、恐ろしきもの……。
知っていれば、そのような名はつけぬ。……知らぬことは罪に等しい。
……さて」
その無機質な声は、響き渡ることもなく落ちる。
「祭りを始めよう、楽しい祭りを……な」
物語は、復讐を望むそれの笑みとともに。
最初のコメントを投稿しよう!