第二十四章 “その日”それぞれの約束は帰る(前半)

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「父上も言ってたでしょ? 言ノ葉の『初めての使い手と神治支社には、歴史上での繋がりがある』って。それに、雲児というぼくと柾に与えられた雷児と風児以外の役が登場した。あ、柾の見つけた資料にね。雲児は、帰ってきていない。東の地、つまりスバルに行ってそのままだ」  もうわかるよね。その答えに至るまでの材料を全て示したテイカは、静かに続ける。 「九条さんのご先祖様は雲児。ぼくらと同じ、神社の人間だよ」 「でもそれは」「こじつけ? そうかもしれない。でもまあちょっと考えてみようよ」  テイカが風を繰る。一宮は、魔物を討ち、話を聞こうとまた戻る。 「九条さんのご先祖が神社の、神の気を使える人間だと仮定してさ。僕らが祓うことのできるものってなに?」 「迷の魂魄と……あ、いや、でもそれは」  一宮は答えを口に出そうとして戸惑った。導いてしまった答えが、1人の人間を執拗に狙うとは思いたくなかったのだ。  だが確かに、そうなると辻褄が合った。 「なんでそんなことになったのかはわからないけれど。さっきので確信したよ、ぼくは」  テイカはどこからか流れくる煙を目で追った。  そうして、念を押すように続ける。 「迷の魂魄を繰り、力を与えることができる存在を、ぼくはそれしか知らないから。それに、神頭会議の7つのせきには、空きがある。ほら、用意されたみたいにぴったりだ」  一宮は息をのんだ。 「じゃあ、魔女も――」
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