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「あの日、僕は何を頼まれたんだろう」
『これは魔族の総意だ』
魔王は、なんども“あの日”の光景を思い出した。
ふとした瞬間にも、夢の中でも。目覚めて虚無に襲われる。
「あの日、親父が僕に言った言葉が全てだとしたら。僕の呪いを消せるほどの力を持った空の民が復活する。本来、それが魔族全体の望みだったはずだ」
主が戻るまで待つ。そのための、爆発だったのだから。
「それなのに、スバルの――いや、リーリエンの土地神である君は、空の民を消すこと、僕を生かすことに捕らわれている。それに中途半端なんだ、これまでの君の行動は」
空の民を排除することだけが目的ならば、今までその機はいくらでもあった。
なぜ、力のある者が生まれるまで、動かなかったのか。
動いたところで、なぜ、苦しめるような行為のみに終止しているのか。
「わかったのは、わりと最近だったよ」
単純でしかなかった。
「魔族だって人間だ。空の民が全てでも、愛する者はいる。あの時スバルが消えることを、多くの同胞の命が消えることを心から歓迎していた魔族なんていたのだろうか」
なにもしていないのに巻き込まれ、人を殺すための武器を作らされ、いつの間にか悪の根源にされて恨まれ、庇った大切な者たちを殺され、身内を殺され、最終的に示された道が“故郷を捨てる”。
誰が、耐えられるというのだろう。
「母を――キミをおかしくさせたのは、あの時のスバルだろう」
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