第二十五章 “その日”それぞれの約束は帰る(後半)

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 レウスの王城の応接間。そこには、各国の要人が集まっている。 「バラナルの状況は? 派遣屋に情報は入っているか?」バラナル大統領。 「報告によれば最悪の事態は免れた。派遣屋は警察と連携して市民の安全の確保。雨の狼、月城三汰の指示で拠点と主犯の割り出しを行っている。現在の被害状況は……城ノ内」 「ああ。こちらを」  派遣屋シリウス代表シルビアと、城ノ内。 「レウスのほうはどうだ」レウス国王に、「市内は城を含めた4カ所を避難場所として解放しました。他につきましても、避難は滞りなく。事態は鎮静へと向かっています。爆発は市内に3か所と――」レウス首相。 「覇王様は?」「おそらく城下で指揮を」「覇王様なしでこの会誰がまとめるんだ……?」「国王様だろう」他、大臣等と覇王見張り役とレウス派遣屋代表。 「我が国に被害は?」「ございません。陛下」「ならよいです」大陸の翼、タレア皇女(おうじょ)。 「そうか、オオカミは怒ったか。キリヤ君も飛んだのなら、そろそろだね」神治支社の神口(しんく)トラウに、「ええ。あいにく、ここからは空が見えませんが」飛龍の長、クサハ。  各国の長の元には、慌ただしく様々な情報が集り、徐々に被害の全容が見え始めていた。 「どうやら、彼らの狙いはバラナルのシリウスのようだ」 「となれば、これまでのレウスへの攻撃は揺動ということか」 「何をしたいのかは見えてこんな」  被害が把握できれば、気になるのは原因。いや、それこそが応接間に集まる者たちの最も考えるべき問題であった。
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