第二十五章 “その日”それぞれの約束は帰る(後半)

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「落ち着いてきたところで、改めて伺いましょう。……各会議でも上がっていましたが、これまで国内での不審な動きは? オムはどうです?」 「神治支社で確認していたのは、魔物の凶暴化でしょうか」  神口トラウはレウス国王の問いに答える。オムは青年や主役との関わりや夜南の件もあったため、それだけなはずもないのだが。――まあ、オムの立場と考えがあるとしておこう。 「タレアはどうですかな、リアラ皇女」 「……東の島で不審死がありましたわ。周辺に魔力の痕跡は残っておらず、目撃者もいないようで追跡は不可能」  タレアの皇女は眉をひそめ、ふるふると首を振った。 「レウスとバラナルは派遣屋の方が詳しいですかな? 気がつくことは?」 「爆発にかかわることでは、以前報告した通り。実行犯は捉えましたが、いずれも獄中で突然死。それ以上の追跡は不可能でした」 「バラナル派遣屋では、神治支社と同じように凶暴化の多発を確認している。それから、人攫いだ」  小綺麗な格好をしたレウス派遣屋代表は背筋を伸ばし、派遣屋シリウス代表のシルビアは、絹糸のように柔らかな髪をかきあげた。  レウス派遣屋代表は、国王の御前で畏まる様子のないシルビアをみて眉をひそめる。
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