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増えた追手を引き連れて、結城は中心街を抜けた。
飯田シュウのせいで、派遣屋への道を失いながら。
しかし中心街を抜け、さすがに野次馬は減ったらしい。残ったのは、恨み節を口にする連中に、手合せをとしつこい連中やら、カメラを抱えた連中やら……それでもまだ多いが。
結城は走る。
やがてその足は、旧市街やらの名残か、扉はもうない大きな門へと近づいた。
四角く切り出された石を積み重ねたような門だ。蔦が巻き付き、緑が茂っている。
その先に川があるのか、どこからか、水のせせらぎが聞こえた。
「……オイ、鍵出せユウトォ」
「え、もう今度はなに?!」
急に横に現れた黒羽に、結城はうろたえた。
それに、鍵といわれてもわからない。
結局探しても見つからないため、停滞していた上に、ここ最近は考える暇もなかったのだ。
「思い出せよ、土地神の言葉。すげーヒントだったぜェ?」
それなのに、黒羽はせかしてくる。
結城はその鬱陶しさに眉をひそめた。
「今それどころじゃ」
「それどころだ。逃げてェんだろォ?」
逃げたい、確かに。
そう咄嗟に思った結城は、目を細めて記憶を引きずり出した。
『帰り方? そんなものねえよ』
『ただ、鍵は手前がすでに持っておる』
『その時になれば、きっとわかるわ』
帰り方を探すのは無駄だ、帰り方はない。鍵は、もう持っていて、その時になればわかる。そんなことを言われた。それから――
『帰る道は開く。鍵は、汝の意の如く形を変えるだろう』
今持っているもので、自分の意志のように形を変える物。
「えっ」
声を上げた結城は慌て、読んだ本の記憶を辿る。
『使い魔が与えられるのは“鍵となるモノ”と“力となるモノ”だけ。つまり、ヒントや助言と武器やら少量の助力』
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