第五章 主役は一歩進み、周りに激流しか居ないことに気付く

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――夜道の青年―― 『魔術とは、魔を操る(すべ)である。一般的には魔法とも言う。  1000年ほど前(本書作製1134年)、今でいう“バラナル”の北東地区と“オム”南東地区の間で栄えた一族が使い始めたのが起源とされている。伝承では、だ。  その一族から派生した魔術は伝承によって引き継がれ、その一族の才ある者しか引き継げないものであった。  だが、戦争によってそれは変わった。いや、その前から研究はされていたのだろう。  癒す力から傷つける力へ。  一般人にも使える魔術、“方陣式”が誕生した。魔法名を名前のように呼び方陣を呼び出すだけで使えるこの術は、一部で広がりを見せていた魔術の時代の拡大を加速させた。    ―中略―  我々は魔術に囲まれて生きている。話を進める上で、私は今の時代においての疑問を投げかけよう。  心やさしき始まりの一族を迫害してまで手に入れた、この力を私たちはどれ程理解しているのか。魔術とはどうあるべきなのか。  それが本書のテーマである。  まず、魔術に関する歴史を検証することから始めよう。―――』
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