11人が本棚に入れています
本棚に追加
俺がアメリカに来て10年
今までずっとテニスに集中していた。
まわりの事なんてほとんど見えなかった。ただひとり、竜崎以外のことは…
俺は、竜崎が好きだった。
今でも好きだけど。
でも、気持ちは伝えずに、ひたすら自分を演じてた。
竜崎がそれに気づいていたのも、わかってた。
あいつだって自分を演じてた。
俺も、あいつも、すごく不器用だからお互いの気持ちに気づいていた。
それでも、自分の気持ちを口には出せなかった。
怖かったんだ。
俺がアメリカに行って、その後竜崎はひとり。傷つけるのが怖かった。
俺がアメリカに行く日。
あいつは俺に伝えようとしていた。
好き
それは俺が一番求めて、一番怖れた言葉。
俺はその言葉を遮り、
「まだ言わないで…俺が帰ってきたらきかせて」
そう言って、竜崎を泣かせた。
どうして俺はあんなことを言ったんだろう。心の中には、今でも後悔しか残っていない。
最初のコメントを投稿しよう!