壱罪 : 八幡かずら

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混乱して目が泳いでしまったせいか、ふと傍聴席に目を向ける。眠そうにしている人達が多い中、1人の少年の姿が気になった。 年の頃は12~15歳くらいだろうか。精悍な顔立ちだが子供っぽさを残す美少年だった。髪色は自分で染めたのか薄い赤、更に瞳は金色である。日本人ではないのかもしれない。何より、少年の格好は奇抜過ぎた。 黄色の着物の上から銀色に輝く胸甲冑を装備している。何か大きなものを背負っているようだが、この位置からではそれが何なのか確認する事も出来ない。 裁判所に、コスプレして来る人を初めてみた。そんな驚きを感じていたら少年と目線があう。相手が子供だというのに、私は心臓が高鳴り慌てて顔を背けた。断じて恋ではない。それとは別の――何か。
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