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「薬師寺さんは、景山さんが事故を起こした当日に一緒だったという事ですが、本当ですか? あ、すみません。私はレモンティーをお願いします」
席に座り、やって来たウェイトレスに注文をするかずら。その隣に座った景山も「自分はアメリカンを」と告げる。
「えぇ、確かに。街で偶然会いましてね。高校以来だったので懐かしくて、つい昔話に盛り上がっちゃって」
「確か居酒屋でしたね。どこの居酒屋か教えてもらっていいですか?」
「駅から然程離れていない『のんだくれ』という店です」
景山から店の名前も事前に窺っていた。全て話が合致しているので嘘偽りではないだろう。
「景山さんは結構お酒を飲まれていたそうですが、どんな話をされたか覚えてます?」
かずらの話に、横の景山がぎょっとした顔をする。すぐにかずらが頭を微かに横へ振るので、彼女の意図する事を理解出来た。カマをかけているのである。
「酒を? いや、こいつは車で来てましたからね。ノンアルコールビールしか飲んでいませんよ」
「……なるほど、そうでしたか。すみません、こちらの勘違いです」
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