370人が本棚に入れています
本棚に追加
「何の話をしたかと言われても……本当に他愛のない話ですよ。部活の先生が厳しかったとか、仕事の事とか。こいつが結婚しているってのを聞いた時は本当にびっくりしましたね。先を越されちゃったなぁと。はははは」
「薬師寺さんは独身なのですか? 失礼ですが、ご職業は何を……あ、ありがとうございます」
お待たせしましたと、ウェイトレスが飲み物を持ってくる。律儀に頭を下げて礼を言うかずら。
「営業をしています。このご時世ですからね、なかなかうまくいきませんよ」
「景山さんは、今回の事故で裁判を起こす事になるかもしれません。もしそうなれば薬師寺さん、貴方にも証言台に立ってもらう必要があります。よろしいでしょうか?」
「裁判? そんな話になっているんですか? まぁ僕に出来る事なら協力させてもらいますよ」
「ありがとう、薬師寺」
情報の裏も取れたし確実に証言者も得ている。ここまでは問題ないと言えよう。……そう、ここからなのだ。
(次はいよいよ、病院に行って棚橋裕君とお母さんから話を伺う番ね……)
レモンティーをすすりながら、かずらは気合いを入れ直した。
最初のコメントを投稿しよう!