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突如割って入ったかずらに対し、樹里は明らかに不機嫌そうな顔をしてみせ「何? このガキ」と言い放つ。
「申し遅れました。私、景山さんから正式に依頼を受けました弁護士の八幡と申します」
名刺を取り出して樹里に渡す。それを彼女は眺めながら「はぁ? 弁護士?」と呟く。
「棚橋樹里さんですね? 先程仰っていました治療費ですが、それは景山さんが契約している保険会社から十分な金額が出されるはず。聞く所によると、貴方は景山さんから5000万円という法外な金額を要求しているそうですね。これは些か非常識かと思いますが」
一気にまくしたてるかずらに対して、樹里は冷ややかな目を浴びせる。そして目線を景山に向けた。
「……あぁ、そう。そういう事なのね、景山さん」
樹里は煙草を取り出すと、それに火をつけた。空中に向けて一気に煙を吐き出した後、彼女は……不敵な笑みを浮かべる。
「そっちがその気なら、こちらも受けてやろうじゃない」
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