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「……それでは、失礼させてもらいます」
かずらは城ヶ峰が先程から立ちふさがっている病室の扉に近付き、中へ入ろうと
した。すると城ヶ峰から「あら、どちらへ向かうのです?」と声をかけられる。
「どこって……棚橋祐君の容体を窺いに――」
「それはいけませんわ」
彼女は扉からどけようとしない。不敵な笑みを浮かべ、かずらを見下しながら告げた。
「彼は現在、面会謝絶中ですの。会わせる訳には参りませんわ。そうですね?」
城ヶ峰が樹里に目線を向けると、彼女は「ええ、その通りよ」と鼻息を荒くさせ、腕を組んだ姿勢で言い切った。彼女達の策略は明白である。かずらにマトモな調査を行わせないつもりなのだ。
(どこまでも……汚い……ッ!)
かずらは奥歯を噛みしめながら、相手を睨み付ける。
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