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「被告人は何故、２００万円という多額の借金を抱える事になったのですか？」
裁判長の言葉に、笹山さんが舌打ちをして答える。
「客が店に借金抱えたままトンズラしやがってよ。そういう場合の責任ってのは、指名されてたホストに回ってくるのさ。マジで最悪だぜ」
「さ、裁判長！ お聞きの通りです！ 笹山さんは逃亡したお客様の借金を肩代わりしているだけで、彼自身は何も……！」
「先程、彼の口から発せられた言葉を弁護人はもう忘れたのか？ 殺してやりたいと思う事は、しょっちゅうあったと言っていたではないか！ それに逃げ出した客の借金を背負うというルールは、同じ店で働く者なら誰もが知っている事だった。そんな危険な客を、まんまと逃がしてしまった彼に責任がないとは思えませんね」
「そ、そんな……！」
余りの言い草に言い返したいけど……何と言っていいのか分からない。
「冒頭陳述は以上です。では、最初の証人に登場して頂きましょう」
安河内検事は、自信たっぷりに「フン」と鼻を鳴らした。
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