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「――あ、あの……【吉野 香澄】……ウエイターをしています」
笹山さんと入れ替わりで法廷に立ったのは、髪の長い女性だった。可愛らしいプリントワンピースの上にロングニットカーディガンを着ており、それがとても似合っている。見た目からして大学生だろう。
緊張しているのか伏し目がちで、どこか怯えた様子。ここでそんな表情をしているのは彼女と……私ぐらいだ。
「吉野氏、貴女が事件の第一発見者なのは間違いありませんか?」
安河内検事が訊ねると、吉野さんは「は、はい」と答えて頷く。
「その時の状況を詳しく教えてください」
「じょ、状況……ですか? えっと……事件当日、植草さんが私の働くBARにいらっしゃったのですが……携帯電話を忘れられていまして、それを届ける為に後を追いかけたんです。すると突然、悲鳴が聞こえてきて……」
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