77人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆっくりと…
もう一度目を開いてみる。
視界には相変わらずジャングルが映る。
はぁ…
ため息をつき、
よろけながらも夕は立ち上がった。
「取り敢えず…水を…」
そう呟くと、
視界に映った歩き易そうな場所を選んで進む。
周囲を見渡すと、
どの草花も見たことのない形をしていた。
ジャングルを歩く経験の無い夕にとって、
見た事もない植物がある事くらいは当たり前の話だが、
中には青白く発光する植物まであった。
「地球にはこんな植物まであるんだな」
気にはなるが、
摘み取るのは止めた夕だった。
「…変な毒あったら嫌だしな」
夕には毒に対するトラウマがあった。
それは昔、
近所の友達と《かくれんぼ》をして遊んでいた時の事だ。
夕の隠れた場所に蜂の巣があり、
腕を3カ所刺されたのだ。
幸い何事もなく済んだのだが以来、
蜂や蛇と言った毒を持った生き物や毒に対して強いトラウマが芽生えた夕だった。
最初のコメントを投稿しよう!