第一章 ここは…どこ?

7/10
前へ
/201ページ
次へ
音と地を伝わる振動がだんだんと夕のいる川辺に近づいてくる。 夕の思考が再びパニックで停止する。 「…一体、 なんだってんだよ…!」 近くにあった手頃な木の枝を拾うと、 剣道の様に中段に構えた。 もともと運動が好きではない夕にとって剣道の経験はない。 見よう見まねの構えである。 「ヴゥオオォォォォ!」 雄叫びとともに視界には四、 五メートルはありそうな1つ目の人が映る。 人ではない。 人に似た形の化け物である。 「うわぁぁあ!」 あまりの迫力に夕は尻餅をつく。 …逃げなきゃ… 逃げなきゃ…やられる! 頭では理解していたが、 恐怖で身体が硬直していた。 「くるなぁぁぁぁ!」 夕は必死で叫ぶが身体は未だ動かず、 一つ目の化け物は夕に向かって刻一刻と迫ってきた。 もう駄目だ、 夕は諦めて目を瞑った。 「そこの貴方、 今すぐ下がりなさい!」
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加