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私は誰もいない教室で自分の席に座っている。
いつもと変わらない風景。
静かな空間。
少し蒸し暑い夏の朝。
それさえも心地好く感じる。
しかし、この穏やかな時間を壊す、予期せぬ出来事が起こった。
教室のドアが開いたのだ。
しかも、見える影は制服。
生徒、クラスメートだ。
驚きを隠せずにただドアを見詰めていると、入ってきた生徒と目が合った。
合ってしまった。
「おはよう」
教室に入ってすぐに立ち止まり小さく微笑みを浮かべて挨拶をした生徒は岸本透。
クラスの人気者。
その岸本に挨拶をされて戸惑いを隠しきれない。
「お、おはよう、ございます…」
だんだんと声が小さくなっていくのが自分でもわかった。
たかが挨拶でこんなにも戸惑う奴なんてほとんどいないだろう。
馬鹿にされる。
絶対、馬鹿にされる。
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