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「へぇ、歌河さんってそんな声出すんだ。…ねえ、どうしてそんな顔してるの?」
口角だけが上がった笑みで私を見詰める岸本。
その瞳に映る私は強張った表情をしていた。
仕方がない。
人と話すことなんて滅多にないから緊張してしまっている。
「そんなに変な顔はしてません…、と思います」
人と話すときはやはりあまり堂々と出来ない。
普段からしてはいないけど。
こういうのは苦手だ。
「緊張してる、とか?」
「そ、そんな、緊張なんてしてないですっ。ただのクラスメートとの会話で、き、緊張なんてしませんよっ」
見事な動揺っぷりだと我ながら思う。
こんなの緊張してます、って言ったも同然じゃないか。
自分のことながら、普段殆ど変わらない表情も人間味を帯びているように感じる。
「図星?」
「図星…ではありません」
恥ずかしすぎて目も合わせられない。
嗚呼、これが私なのか。
駄目だな、私。
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