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「急にほぼ初対面の男子と話すなんて嫌だったね。ごめん。歌河さんってどんな子か知らなかったから少し話したかっただけなんだ。こんなに怖がられるなんて思わなくて…」
私のことを心配してくれているのだろうか。
岸本の表情は先程からだんだんと不安げなものに変わっていく。
緊張していることを怖がっていると思われたことにも多少驚いたが、それ以上にこんなに紳士的な男子が存在するのか、と関心してしまった。
染められていない黒髪に校則通りに着られた制服、その上この性格。
感情の変化から言葉が出せず、私はただ頷くことしか出来なかった。
頷きに気付いた岸本は、安堵の笑みを浮かべてそして、それは優しげな笑みに変わった。
「ありがとう、俺なんかと話してくれて。…でも、歌河さん、予想以上に面白いから気に入った」
「は?」
思わず拍子抜けた声を出してしまった。
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