燃えゆく大地

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遠くからカツカツという金属音。 梯子を降りる音だ。 音が近くなる。 「大丈夫か!」 声から判断すると、若い、男の軍人、顔は近くにあるはずなのにぼやけてよく見えない。 「だ…いじょ……ぶ…な訳…あ……るかよ」 「今、艦内につれてくから!」 「や、め……ろっ!」 「えっ」 「ここ…で、殺……せ…」 「何を言って……」 「いい……からっ!」 「馬鹿!叫ぶな!血が!」 「うるさいっ!……ワタシにはっ!カハッ……ワタシの世界にはもう……もう……」 泣いていた。知らないうちに。何年振りだろうか。 「もう、喋るな!女の子なんだからさ、泣くと綺麗な顔が崩れるぜ。」 そう言って、軍人はワタシをひょいと背負った。 見慣れた商店街も学校も家も何もかも燃えていた。
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