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──ジリリリリリ、
うるさい音が耳元できこえる。目をつぶっているのに眩しい。
あぁ…また朝がきてしまったのか…などと、ふざけたことを思いながら布団から腕をのばし目覚ましをとめる。
時刻は7時30分。
………「あと、5分だけ…」
と、再びの眠りへつこうとした瞬間。
「志狼ぅーー!!起きなさぁーーーい!遅刻するわよーー!」
家の一階から大きな声が響く。しかし俺はあと5分寝ると決めたのだ!
「……スヤスヤ」
しかし、俺の考えは甘かった。
バンッ!
急に俺の部屋のドアが勢いよく開き、母さんか!と思った矢先、俺のくるまっている素晴らしきポカポカ布団が一気にはがされたのだ。
「しろ君!さっさっと起きないと布団はがすよ!!」
「もう、はがしてるよ!姉ちゃん!!」
母さんかと思ったが姉ちゃんだった。
「早く起きなさい!起きな・い・とー」
布団を放り投げた姉ちゃんは拳を握り締め俺を殴る体制にはいる。
「分かった!分かったから!!ハイッ!今起きました!あ、あとしろ君って呼ぶのヤメロっていつも言ってんじゃん!!」
「あーはぃはぃ、しろ君が良い子になったらねーー」
姉ちゃんは棒読みで言う。全くこの姉は……。
こんなやり取りをしていたら5分経っちまったじゃないか、全く。そう思いながら制服に着替えようと、上着を脱ごうとしたが、まだ部屋にいる姉に気づいた。
「あの…姉ちゃん。」
「ん?」
姉ちゃんは大きくクリクリした目を瞬きさせながら首をかしげる。それと同時に茶色の肩まで綺麗にのびているストレート髪の毛がなびく。優しそう、守ってあげたくなるそんな姉の姿に思わず心がドキッとはしなかった。するわけがない。
「着替えるから部屋出てけ」
「ヤダ」
「出ろ!!」
俺は手元にあった枕を姉目掛けて投げつける。
「うわっと!しかし、しろ君の攻撃はミス!私は退散する!」
枕をよけ、俺に勝ったような顔をしながら姉はスタスタと部屋を出ていこうとする。そして、ドアをしめる前に顔を覗かせてきた。
「しろ君?」
「何?」
予想はついてるが一応きく。
「おはよう♪」
ニコッと笑いながら、挨拶をする。その顔はまるで子供だ。
「あぁおはよう。」
俺も笑いながら挨拶をする。
そしてドアが閉まり、階段をおりていく音がきこえる。さて、やっと着替え…れ…ふと目に入った時計は、8時をさすところだった…。
こうして、俺のいたって普通な日常が始まったのだった。
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